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概要
Flask(フラスク)は、Pythonで開発された軽量で柔軟なWebアプリケーションフレームワークです。「マイクロフレームワーク」と呼ばれ、必要最小限の機能のみを提供し、開発者が必要に応じて機能を追加できるシンプルな設計が特徴です。シンプルでありながら高い拡張性を持ち、小規模なWebアプリケーションからAPI開発まで幅広く利用されています。
特徴
- 軽量・シンプル:最小限のコア機能のみを提供するマイクロフレームワーク
- 高い柔軟性:必要な機能を選択して追加できる拡張可能な設計
- 学習コストが低い:直感的なAPIで初心者でも理解しやすい
- Jinja2テンプレートエンジン:強力で使いやすいテンプレート機能
- Werkzegベース:WSGIツールキットの上に構築され安定性が高い
- 豊富な拡張機能:Flask-SQLAlchemy、Flask-Login等の充実したエコシステム
- 開発用サーバー内蔵:開発時に簡単にローカルサーバーを起動可能
アーキテクチャ
FlaskはWSGI(Web Server Gateway Interface)準拠のフレームワークで、以下のような構造を持ちます:
- アプリケーションファクトリパターン:create_app()関数でアプリケーションインスタンスを生成
- Blueprint:大規模アプリケーションのモジュール化機能
- リクエスト・レスポンスサイクル:リクエストコンテキストとアプリケーションコンテキスト
- ルーティング:@app.routeデコレータによるURL パターンマッチング
- テンプレート:Jinja2テンプレートエンジンによるHTML生成
主な用途
- RESTful API開発:軽量なAPI サーバーの構築
- プロトタイプ開発:アイデア検証のための素早いWebアプリ作成
- 小〜中規模Webアプリ:ブログ、ポートフォリオサイト、管理システム
- マイクロサービス:単一責任の小さなサービス開発
- 学習・教育:Webフレームワークの基礎学習
- データ可視化:機械学習結果の表示やダッシュボード
パフォーマンス
Flaskのパフォーマンス特性:
- 軽量性:オーバーヘッドが少なく高速な起動時間
- メモリ効率:必要最小限のメモリ使用量
- スケーラビリティ:Gunicorn、uWSGI等のWSGIサーバーで並行処理対応
- キャッシング:Flask-Cachingによる効率的なキャッシュ機能
- 非同期処理:Celery等との連携でバックグラウンド処理
エコシステム
Flaskの豊富な拡張ライブラリ:
- Flask-SQLAlchemy:SQLAlchemy ORM統合
- Flask-Login:ユーザー認証・セッション管理
- Flask-WTF:WTFormsによるフォーム処理・CSRF保護
- Flask-Mail:メール送信機能
- Flask-RESTful:REST API開発支援
- Flask-Admin:管理画面自動生成
- Flask-Testing:テスト支援ツール
- Flask-Migrate:データベースマイグレーション
💡 Flask選択のポイント
Flask は学習コストが低く、シンプルな構造で素早く開発を始められるため、Python初心者やプロトタイプ開発に最適です。一方で、大規模な企業アプリケーションには Django の方が適している場合があります。プロジェクトの規模と要件に応じて選択しましょう。