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概要・定義
Serverless(サーバーレス)は、開発者がサーバーの管理を行わずにアプリケーションを構築・実行できるクラウドコンピューティングモデルです。「サーバーレス」という名前ですが、実際にはサーバーが存在しないわけではなく、サーバーの管理やプロビジョニングがクラウドプロバイダーによって完全に抽象化されているという意味です。
Serverlessコンピューティングは、主にFaaS(Functions as a Service)とBaaS(Backend as a Service)の2つのモデルで構成されており、開発者は純粋にビジネスロジックの実装に集中できます。2014年にAWS Lambdaが発表されて以降、急速に普及し、現在では多くのクラウドプロバイダーがServerlessサービスを提供しています。
主要な特徴・利点
1. インフラ管理の不要化
サーバーのプロビジョニング、パッチ適用、スケーリング、監視などの運用作業をクラウドプロバイダーが完全に管理します。
2. 自動スケーリング
リクエスト数に応じて自動的にスケールアウト・スケールインし、トラフィックの変動に瞬時に対応します。
3. 従量課金制
実際の実行時間とリソース使用量に対してのみ課金され、アイドル時間に対する料金は発生しません。
4. 高可用性
クラウドプロバイダーが提供する冗長化されたインフラ上で実行されるため、高い可用性が保証されます。
5. 開発効率の向上
インフラ管理から解放されることで、開発者はビジネスロジックの実装に集中でき、開発サイクルを短縮できます。
Serverlessの種類
1. FaaS(Functions as a Service)
イベント駆動型で実行される小さな関数単位のコンピューティングサービスです。
- AWS Lambda: 最も普及しているFaaSサービス
- Google Cloud Functions: Google Cloudの軽量サーバーレス実行環境
- Azure Functions: Microsoftのサーバーレス関数サービス
- Vercel Functions: フロントエンド特化のサーバーレス関数
2. BaaS(Backend as a Service)
データベース、認証、ストレージなどのバックエンドサービスを提供します。
- Firebase: Googleの統合型BaaSプラットフォーム
- AWS Amplify: AWSのフルスタック開発プラットフォーム
- Supabase: オープンソースのFirebase代替
3. サーバーレスコンテナ
コンテナをサーバーレスで実行するサービスです。
- AWS Fargate: サーバーレスコンテナ実行環境
- Google Cloud Run: コンテナベースのサーバーレス実行環境
- Azure Container Instances: 軽量なコンテナ実行サービス
使用例・実装方法
AWS Lambda関数の例
# Python でのLambda関数例
import json
import boto3
def lambda_handler(event, context):
# イベントからパラメータを取得
name = event.get('name', 'World')
# レスポンスを作成
response = {
'statusCode': 200,
'body': json.dumps({
'message': f'Hello, {name}!',
'timestamp': context.aws_request_id
})
}
return response