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GraphQLとは
GraphQLは、2012年にFacebook(現Meta)が開発したAPIのためのクエリ言語およびランタイムです。従来のREST APIの課題を解決し、クライアントが必要なデータだけを効率的に取得できる柔軟なAPIを提供します。
GraphQLの特徴
1. 単一エンドポイント
REST APIのように複数のエンドポイントを持つのではなく、通常は単一のエンドポイント(/graphql)でAPIを提供します。
2. 柔軟なクエリ
クライアントが必要なフィールドだけを指定してデータを取得できます。これにより、Over-fetchingやUnder-fetchingの問題を解決できます。
3. 強力な型システム
スキーマによって型が定義されており、開発時に型チェックやバリデーションが行われます。
GraphQLの基本概念
- スキーマ:APIの構造を定義
- リゾルバ:各フィールドのデータ取得処理
- クエリ:データの読み取り操作
- ミューテーション:データの変更操作
- サブスクリプション:リアルタイムデータ監視
クエリの例
// ユーザー情報のクエリ
query {
user(id: "123") {
name
email
posts {
title
content
createdAt
}
}
}
// レスポンス
{
"data": {
"user": {
"name": "田中太郎",
"email": "tanaka@example.com",
"posts": [
{
"title": "GraphQLの基本",
"content": "GraphQLは...",
"createdAt": "2024-01-01T00:00:00Z"
}
]
}
}
}
GraphQLの利点
- 効率的:必要なデータのみを取得
- 型安全:スキーマによる型チェック
- 自己文書化:スキーマが仕様書の役割
- バージョニング不要:フィールドの追加・削除が容易
GraphQLの課題
- キャッシュの複雑さ:REST APIのようなシンプルなキャッシュが困難
- 学習コスト:新しい概念の理解が必要
- N+1問題:適切なデータローダーの実装が必要
GraphQLツールと実装
- Apollo:GraphQLのフルスタックプラットフォーム
- Relay:Facebook製のGraphQLクライアント
- GraphiQL:GraphQLのインタラクティブIDE
- Hasura:データベースからGraphQL APIを自動生成
REST APIとの比較
項目 | REST API | GraphQL |
---|---|---|
エンドポイント | 複数 | 単一 |
データ取得 | 固定 | 柔軟 |
キャッシュ | 簡単 | 複雑 |
学習コスト | 低い | 高い |