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TOPSとは
TOPS(Tera Operations Per Second、テラオペレーションズパーセカンド)は、NPUやGPUなどのAIプロセッサの性能を測定する単位です。1秒間に実行できる演算回数を兆回(テラ)単位で表します。数値が大きいほど、AI処理が高速に実行できることを意味します。
MicrosoftのCopilot+ PC認定基準では、40 TOPS以上のNPU性能が必須とされており、AI PC選びにおいて最も重要な指標の一つとなっています。
TOPS値で何ができるか
| TOPS値 | 利用可能なAI機能 |
|---|---|
| 10-20 TOPS | 基本的な顔認識、音声認識、簡易画像処理 |
| 30-39 TOPS | ビデオ会議エフェクト、リアルタイム翻訳、基本的なAI画像編集 |
| 40-49 TOPS | Copilot+ PC対応:Recall、Cocreator、Windows Studio Effects、Live Captions |
| 50+ TOPS | ローカルLLM(Phi-3、Llama 3)実行、高度なAI動画編集、Neural Filters |
| 60-80 TOPS | 次世代AI機能、より大規模なモデル、リアルタイムビデオ生成 |
主要プロセッサのTOPS性能比較(2026年版)
Intel Core Ultra
Core Ultra 5 125H:最大34 TOPS(NPU 10 + CPU 8 + GPU 16)Core Ultra 7 155H:最大34 TOPSCore Ultra 7 258V(Series 2):最大47 TOPS(NPU 40 + CPU 7)Core Ultra 9 288V(Series 2):最大48 TOPS(NPU 40 + CPU 8)
AMD Ryzen AI
Ryzen AI 9 HX 370:最大50 TOPS(NPU 50)Ryzen AI 9 HX 375:最大55 TOPS(統合性能)Ryzen AI 7 PRO 360:最大50 TOPS
Qualcomm Snapdragon X
Snapdragon X Elite:最大45 TOPS(NPU 45)Snapdragon X Plus(8コア):最大40 TOPS
TOPS値だけでは分からない:実性能の見極め方
TOPS値は重要な指標ですが、実際のAI性能は他の要素にも左右されます:
1. 統合TOPS vs NPU単体TOPS
プロセッサの仕様には、CPU + GPU + NPUの合算値が記載されている場合があります。たとえば、Intel Core Ultra(Series 1)は「34 TOPS」ですが、内訳は以下の通りです:
- NPU:10 TOPS
- CPU:8 TOPS
- GPU:16 TOPS
Copilot+ PCのNPU性能基準は40 TOPS以上なので、Intel Core Ultra Series 1はCopilot+ PC非対応です。Series 2(Lunar Lake)でNPU単体が40 TOPSに達し、認定されました。
2. メモリ帯域幅
TOPS値が高くても、メモリ帯域幅が不足すると性能が発揮できません。ユニファイドメモリ(CPU/GPU/NPUで共有)を採用するプロセッサは、メモリアクセスが効率的です。
3. ソフトウェア最適化
DirectML、ONNX Runtime、OpenVINOといったフレームワークへの対応状況によって、実際のAI処理速度は大きく変わります。
用途別の推奨TOPS値
ビジネスユーザー
- 推奨TOPS:40-48 TOPS(NPU性能)
- 主な用途:ビデオ会議、リアルタイム翻訳、音声入力、Recall機能
- 推奨機種:Intel Core Ultra 7 258V、Qualcomm Snapdragon X Plus
クリエイター
- 推奨TOPS:50+ TOPS(NPU + GPU統合性能)
- 主な用途:AI画像生成、動画編集、Neural Filters、Cocreator
- 推奨機種:AMD Ryzen AI 9 HX 370 + NVIDIA RTX 4060以上
開発者・AIエンジニア
- 推奨TOPS:50-80 TOPS(ローカルLLM実行)
- 主な用途:Phi-3/Llama 3実行、AIモデル開発、コード補完
- 推奨機種:AMD Ryzen AI 9 HX 375、次世代Intel Core Ultra(2026年後半)
2026年のTOPSトレンド
CES 2026では、以下のようなTOPS性能の向上が発表されています:
- 2026年前半:主流は40-50 TOPS、Copilot+ PC対応モデルが標準化
- 2026年後半:60-80 TOPSの次世代プロセッサ登場(Intel Arrow Lake、AMD Strix Halo)
- 2027年:100 TOPS超のNPUが実用化、より大規模なLLMがローカル実行可能に
TOPS値の確認方法とベンチマーク
公式スペックの確認
プロセッサメーカーの公式サイトで、以下を確認しましょう:
- NPU単体のTOPS値(統合値ではなく)
- 対応フレームワーク:DirectML、ONNX Runtime、OpenVINO
- メモリ構成:ユニファイドメモリの有無
実測ベンチマーク
以下のベンチマークツールで実性能を測定できます:
AI Benchmark:AIモデル実行速度の測定UL Procyon AI Inference Benchmark:AI PC向け標準ベンチマークMLPerf Inference:業界標準のAI推論ベンチマーク
まとめ
TOPS(Tera Operations Per Second)は、AI PCの性能を測る最重要指標です。Copilot+ PCではNPU単体で40 TOPS以上が必須であり、この基準を満たすことで、Recall、Cocreator、Windows Studio Effectsなどの革新的なAI機能を快適に利用できます。
パソコン選びでは、TOPSの内訳(NPU単体性能)、メモリ帯域幅、ソフトウェア対応を総合的に確認し、用途に応じた適切なTOPS値を選択することが重要です。2026年後半以降、60-80 TOPSの次世代プロセッサが登場し、AI PCの可能性はさらに広がります。
