ONNX Runtimeとは
ONNX Runtimeは、ONNX(Open Neural Network Exchange)形式のAIモデルを実行するためのクロスプラットフォーム推論エンジンです。Windows、Linux、macOS、iOS、Androidで動作し、CPU、GPU、NPUなど様々なハードウェアに対応。Copilot+ PCではDirectMLと統合され、NPUを活用した高速AI推論を実現します。
主な特徴
1. クロスプラットフォーム
- Windows:DirectML経由でNPU対応
- Linux:CUDA、OpenVINO対応
- macOS:Core ML対応
- モバイル:iOS、Android対応
2. 幅広いハードウェア対応
- CPU:Intel、AMD、ARM
- GPU:NVIDIA(CUDA)、AMD、Intel
- NPU:Intel AI Boost、AMD XDNA、Hexagon(DirectML経由)
3. フレームワーク互換性
以下のフレームワークで学習したモデルをONNX形式に変換して実行:
- PyTorch:torch.onnx.exportで変換
- TensorFlow:tf2onnxで変換
- Scikit-learn:sklearn-onnxで変換
- Keras:keras2onnxで変換
Copilot+ PCでの活用
DirectMLとの統合
ONNX RuntimeはDirectMLをサポートしており、以下が可能:
- 自動NPU活用:ExecutionProviderに'DmlExecutionProvider'を指定
- ハイブリッド実行:CPU/GPU/NPUを自動的に使い分け
- 最適化:Intel、AMD、Qualcommの各NPUに最適化
使用例
import onnxruntime as ort
# DirectML(NPU)を使用
providers = ['DmlExecutionProvider', 'CPUExecutionProvider']
session = ort.InferenceSession('model.onnx', providers=providers)
# 推論実行(自動的にNPUを使用)
outputs = session.run(None, {'input': input_data})
2025〜2026年の最新動向
- ONNX Runtime GenAI:LLM/SLMの生成AI処理に特化した拡張パッケージ
- Phi-4のNPU実行:MicrosoftのSLMがONNX Runtime経由でCopilot+ PCのNPUで動作
- WebNN統合:ブラウザ(WebNN API)からもONNX Runtimeが利用可能に
- INT4量子化対応強化:さらに軽量なモデル実行でNPU省電力化
関連用語
- DirectML - ONNX RuntimeがNPUを利用するためのAPI
- NPU - ONNX Runtimeが活用する専用AIプロセッサ
- 量子化(Quantization) - ONNX Runtimeのモデル最適化技術
- OpenVINO - Intelの推論エンジン(ONNX Runtimeと並ぶ選択肢)
- SLM(Small Language Model) - ONNX Runtime GenAIで実行するモデル
外部リファレンス:
ONNX Runtime公式サイト
ONNX Runtime GitHub
まとめ
ONNX Runtimeは、クロスプラットフォームでAI推論を実行できる強力なエンジンです。Copilot+ PCではDirectMLと統合され、NPUを活用した高速・低消費電力なAI処理を実現します。AI開発者にとって、デバイス非依存のAIアプリケーション開発を可能にする重要なツールです。2025年以降はONNX Runtime GenAIによるLLM/SLM対応が進み、ローカルAIの標準推論エンジンとしての地位を確立しています。
よくある質問(FAQ)
Q. ONNX Runtimeとは何ですか?
MicrosoftのオープンソースAI推論エンジンです。ONNX形式のモデルをCPU・GPU・NPUなど様々なハードウェアで効率的に実行できます。Windows、Linux、macOS、iOS、Android等の主要プラットフォームをサポートしています。
Q. PyTorchで学習したモデルをONNX Runtimeで実行するには?
①torch.onnx.exportでモデルをONNX形式に変換、②onnxruntimeパッケージをインストール(pip install onnxruntime)、③InferenceSession('model.onnx')でセッションを作成、④session.run()で推論実行、という流れです。NPUを使う場合はproviders=['DmlExecutionProvider']を指定します。
