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Copilot+ PCとは
Copilot+ PC(コパイロットプラスPC)は、Microsoftが2024年5月に発表した、NPU(Neural Processing Unit)を搭載した次世代AI搭載パソコンの新規格です。従来のパソコンとは異なり、40 TOPS(Tera Operations Per Second)以上という高性能なAI処理能力を持つハードウェアを搭載することで、クラウドに依存せずローカルで高度なAI機能を実行できる点が最大の特徴です。
Windows 11の最新機能であるRecall(画面履歴のAI検索)、Cocreator(AI画像生成)、Live Captions(リアルタイム翻訳字幕)、Windows Studio Effects(ビデオ会議AI機能)などを快適に利用するには、Copilot+ PC認定を受けたデバイスが必要になります。
Copilot+ PCの必須スペック
Microsoftが定義するCopilot+ PCの認定基準は以下の通りです:
ハードウェア要件
- NPU性能:40 TOPS以上のAI処理能力
- メモリ:16GB以上のRAM(推奨は32GB以上)
- ストレージ:256GB以上の高速SSD
- ディスプレイ:フルHD(1920×1080)以上の解像度
- バッテリー:長時間駆動(目安:15時間以上のビデオ再生)
対応プロセッサ
2026年1月時点で、以下のプロセッサがCopilot+ PC基準を満たしています:
Qualcomm Snapdragon X Elite(最大45 TOPS)Qualcomm Snapdragon X Plus(最大40 TOPS)Intel Core Ultra(Series 2)(最大48 TOPS)AMD Ryzen AI 300シリーズ(最大50 TOPS)
Copilot+ PC専用のAI機能
1. Recall(リコール)機能
PC上で過去に見た画面やドキュメント、WebページをAIが自動的にスクリーンショットとして記録し、自然言語で検索できる革新的な機能です。「先週見たあの青いグラフの資料」といった曖昧な記憶からでも、AIが該当する画面を探し出してくれます。
プライバシー保護:すべてのデータはローカルに保存され、クラウドには送信されません。また、ユーザーは記録の一時停止や削除をいつでも実行できます。
2. Cocreator(コクリエイター)
Windowsペイントに統合されたAIによる画像生成・編集機能です。ユーザーが描いたラフスケッチをAIが高品質なイラストや写真風の画像に変換したり、テキストプロンプトから画像を生成することができます。クリエイティブ作業を大幅に効率化します。
3. Windows Studio Effects
ビデオ会議向けのAI機能群で、以下が含まれます:
- 背景ぼかし・置換:リアルタイムで高精度な人物認識
- 視線補正:カメラを見ていなくても、相手と目が合っているように補正
- 自動フレーミング:話者を自動追跡して最適な構図を維持
- ノイズキャンセリング:周囲の雑音を除去
4. Live Captions(ライブキャプション)
音声をリアルタイムで文字起こしし、さらに40以上の言語に翻訳できる機能です。海外とのビデオ会議や、外国語の動画視聴に非常に便利です。すべての処理がローカルで実行されるため、通信遅延がなく、プライバシーも保護されます。
従来PCとの違い:なぜNPUが必要なのか
| 項目 | 従来PC(CPU/GPU) | Copilot+ PC(NPU搭載) |
|---|---|---|
| AI処理速度 | 遅い(10-20 TOPS) | 高速(40-50 TOPS) |
| 消費電力 | 高い(GPUは特に高負荷) | 低い(NPUは省電力設計) |
| バッテリー駆動時間 | 8-10時間 | 15-20時間以上 |
| AI機能の動作 | クラウド依存、動作が重い | ローカル実行、快適動作 |
| プライバシー | クラウドにデータ送信 | ローカル処理、高セキュリティ |
NPUは、AIの推論処理(学習済みモデルの実行)に最適化されており、CPUやGPUよりも低消費電力で高速なAI処理が可能です。これにより、バッテリー駆動時でもAI機能をフル活用できることが、Copilot+ PCの大きなアドバンテージとなっています。
Copilot+ PCの選び方:用途別ガイド
ビジネスユーザー向け
リモートワークやビデオ会議が多い方には、Windows Studio EffectsとLive Captionsが役立ちます。以下のポイントを重視してください:
- 推奨CPU:
Intel Core Ultra 7以上、またはQualcomm Snapdragon X Elite - メモリ:16GB(複数アプリ同時使用なら32GB)
- 重量:1.3kg以下の軽量モデル(持ち運び重視)
- ディスプレイ:14インチ、フルHD以上、ノングレア推奨
クリエイター・デザイナー向け
CocreatorやAdobe PhotoshopのNeural Filtersを活用する場合:
- 推奨CPU:
AMD Ryzen AI 9 HX 375(最大50 TOPS) - メモリ:32GB以上
- ディスプレイ:15-16インチ、4K解像度、広色域対応(DCI-P3 100%)
- GPU:NVIDIA RTX 4060以上(3Dレンダリング用)
開発者・エンジニア向け
ローカルLLM(Phi-3、Llama 3など)の実行や、AI開発には:
- 推奨CPU:
Intel Core Ultra 9またはAMD Ryzen AI 9 HX - メモリ:32GB以上(64GBあれば理想的)
- ストレージ:1TB以上の高速NVMe SSD
- OS:ARM版WindowsではなくIntel/AMD版を推奨(互換性のため)
2026年のCopilot+ PC市場動向
CES 2026では、以下のような進化が発表されました:
- NPU性能の向上:次世代プロセッサでは60-80 TOPSを実現
- 価格の低下:エントリーモデルで10万円台前半から入手可能に
- ARM版Windowsの成熟:アプリ互換性が大幅に改善
- 新AI機能の追加:Windows 11 24H2以降でさらなる機能拡張
注意点:ARM版Windowsの互換性
Qualcomm Snapdragon X搭載モデルは、ARM版Windowsで動作します。高性能かつ長時間バッテリー駆動が魅力ですが、以下の点に注意が必要です:
- x86/x64アプリの互換性:
Prismエミュレーションで動作しますが、一部のアプリは非対応 - ドライバ対応:周辺機器のドライバがARM版に対応していない場合があります
- 開発ツール:Visual Studio、Docker、WSL2などは対応済みですが、一部のツールは制限あり
業務で特定のアプリケーションを使用する場合は、事前にARM版Windowsの互換性リストを確認することをお勧めします。
まとめ
Copilot+ PCは、NPUの搭載により、従来のパソコンでは実現できなかった高速かつ低消費電力のAI処理を可能にしました。Recall機能やCocreator、Windows Studio Effectsといった革新的なAI機能を快適に利用するには、Copilot+ PC認定デバイスが必須です。
2026年以降、AI PCは急速に普及し、数年後には標準となる可能性が高いでしょう。パソコンの買い替えを検討している方は、長期的な視点から40 TOPS以上のNPUを搭載したCopilot+ PCを選択することで、将来的なAI機能の恩恵を最大限に受けられます。
