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「最新のHermes Agentで、AnthropicのサブスクがまたHermesから使えるようになったらしい」。そんな話を聞いて、さっそく調べて自分の環境に入れてみました。先に結論を書くと、この話は半分正解で、半分は誤解です。Hermes標準のAnthropicプロバイダは、今もサブスクの枠を使えません。新しく出てきたのは、公式のClaude Code CLIを経由して、Pro/Maxの枠でHermesを動かすNous Research公式のプラグインです。この記事では、そこに至る経緯と導入手順、それから私が実際にハマった「hermes updateしても v0.20 から上がらない」問題の解決までを書きます。
なぜサブスクが使えなかったのか
2026年初め、AnthropicはClaude Free/Pro/MaxのOAuth認証を、Claude CodeとClaude.ai以外のサードパーティ製品で使うことを明確に禁止しました。それ以降、HermesのAnthropicプロバイダでOAuthログインをしても、消費されるのはMaxプランに上乗せで購入した「extra usage」クレジットだけ。プラン本体の枠には一切手がつかない状態が続いていました。Proユーザーにいたっては、この経路自体が使えません。
6月には「Agent SDKやclaude -pの利用をサブスク枠から切り離し、別クレジットにする」という変更が予告されましたが、これは撤回されています。結果として残ったのは、公式のAgent SDKやCLIとして通信するなら、サブスク枠で動くというルールです。
一方、Hermesが自前でAPIを叩くOAuth通信は、相変わらずサードパーティ扱いのまま。公式クライアントなら使えるのに、Hermesからは使えない。この隙間がしばらく埋まらずにいました。
claude-subscription-directsdk とは
その隙間を埋めたのが、9月20日にHermesのプラグインカタログへ掲載された claude-subscription-directsdk です。バージョンは v0.3.0、区分は Official かつ Experimental。Nous Research自身がメンテナンスしている実験版、という位置づけです。
仕組みは単純で、Hermesのターンごとに公式のclaudeコマンドを子プロセスとして起動し、stream-json形式で直接やり取りします。
- 認証はすべて公式CLIの管理下にあり、プラグインは認証情報を読みもコピーもしない
- エージェントループ、ツール実行、承認、コンテキスト圧縮はHermes側がそのまま担う
- Claude Code側のネイティブツールやスキルは無効化され、モデルから見えるのはHermesのツールだけ
かなり雑に言うと、Claude CodeをHermes専用のモデルクライアントとして使う構成です。Claude Codeの「エージェント」としての部分は使わず、「公式の通信経路」としての部分だけを借りている、と考えると分かりやすいと思います。
使えるモデル
モデルは sonnet / haiku / opus / fable の短縮名で指定します。Sonnet 5やOpus 5系は、1Mコンテキストのルートに自動で振り分けられます。
気をつけたいのはFable 5.1です。Pro(およびTeamの標準席)では、最初のリクエストから従量のusage credits課金になります。Maxなら週次上限の50%までは含まれます。Proで何も考えずにfableを指定すると、枠ではなくクレジットが減っていくことになります。
導入前に知っておきたい消費レート
プラグインのREADMEには、Proプランで計測したデータが載っています。要点は次のとおりです。
- このプラグインの消費レートは
claude -pやAgent SDKと同じで、Hermes固有のペナルティはない - ただし対話型のClaude Code(TUI)は、同じトークン量に対して約0.58倍しか計上されない
- そのため、5時間枠でこなせる作業量はTUIの約6割が目安になる
数字だけ見ると割高ですが、同じコーディングタスクでHermesが送ったトークン量はClaude Codeの約0.6倍だった、という計測もREADMEに載っています。実効ではかなり相殺されそうです。
それでも、cronで回している重い定期ジョブまで全部サブスクに載せれば、枠はすぐに尽きます。私は対話とチャット返信はサブスク、定期ジョブは従来のプロバイダという使い分けが現実的だと考えています。
ハマりどころ:hermes update で v0.20 から上がらない
プラグインの動作要件は Hermes 0.21.4 以上です。ところが私の環境では、hermes updateを何度実行しても v0.20 のままでした。
切り分けで見たのは次の2点です。
which -a hermes
# ~/.local/bin/hermes(→ ~/.hermes/hermes-agent/venv/bin/hermes へのシンボリックリンク)
cd ~/.hermes/hermes-agent && git status
# fatal: not a git repository
原因は、本体ディレクトリがgitのチェックアウトになっていなかったことでした。hermes updateはgitで差分を取り込む仕組みなので、この状態では何度実行しても更新されません。エラーにもならないので、気づきにくいところです。
対処は、本体フォルダだけを差し替える形での再インストールです。設定・セッション・スキル・.envは~/.hermes直下にあるので、そのまま引き継がれます。念のため丸ごとバックアップを取ってから進めました。
cd ~
systemctl --user stop hermes-gateway # 常駐させている場合
cp -a ~/.hermes ~/.hermes.bak-$(date +%Y%m%d)
mv ~/.hermes/hermes-agent ~/.hermes/hermes-agent.old
curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/NousResearch/hermes-agent/main/scripts/install.sh | bash
hash -r && hermes --version # Install method: git になっていればOK
正直に書くと、再インストール直後は「設定が消えた?Slackが返事しない?」と少し焦りました。確認してみると設定ファイルはすべて残っていて、gatewayもcronも正常に動いていました。同じ状況になったら、慌てずに次の3つを見てください。
systemctl --user status hermes-gateway
hermes gateway status
hermes cron list
なお、v0.21.0ではセッションストア(state.db)まわりに不具合があり、v0.21.2で修正されています。上げるなら途中で止めず、最新まで一気に上げてしまうのがおすすめです。
導入手順
Hermesが0.21.4以上になっていれば、あとは3ステップです。
# 1. Claude Code CLIを入れてログイン
npm install -g @anthropic-ai/claude-code
claude auth login
claude auth status
# 2. プラグインをインストール(カタログ版はレビュー済みコミットに固定される)
hermes plugins install claude-subscription-directsdk
# 3. プロバイダを選択
hermes model # 「Claude Subscription DirectSDK (Experimental)」を選ぶ
常用するなら config.yaml に書いておきます。
model:
provider: claude-subscription-directsdk-experimental
default: sonnet
詰まりやすいのは環境変数です。起動環境に ANTHROPIC_API_KEY などのAPIキー系の変数が残っていると、プラグインは安全のために起動を拒否します。以前API経由で使っていた人は、.envに古いキーが残っていないか先に確認してください。また、意図しない課金を防ぐため、Claudeのアカウント設定でextra usageを無効にしておくと安心です。
業務利用の線引き
このプラグインは、あくまで自分のサブスクで、自分のエージェントを動かすためのものです。Anthropicの規約では、第三者がClaude.aiログインを提供したり、Pro/Maxの認証情報でユーザーの代わりにリクエストを中継したりすることは禁止されています。
クライアント向けのシステムや、複数ユーザーが使うSaaSに組み込むなら、Claude APIキーやAmazon Bedrock経由の構成を選ぶべきです。個人の開発基盤と、お客様に納品する基盤は、最初から分けて設計しておくほうが後で困りません。
もう一点、作者自身が「レビュー用ビルドであり、本番運用の準備が整ったと主張するものではない」と明記しています。検証済みのClaude Codeのバージョンも決まっているので、CLIが勝手に上がらないよう固定しておくのが無難です。
まとめ
- Hermes標準のAnthropic OAuthは、今もextra usageクレジット専用のまま
- 公式プラグイン
claude-subscription-directsdkなら、Claude Code CLI経由でPro/Maxの枠が使える - 要件はHermes 0.21.4以上。
hermes updateで上がらないなら、まず本体がgit管理かどうかを確認する - 消費はTUIより重いので、対話はサブスク、定期ジョブは別プロバイダに分ける
- 業務・クライアント向けには、APIキーかBedrockを使う
お帰り、Claudeサブスク。実験版とはいえ、Hermesの自律エージェントとClaudeの組み合わせを定額の枠で試せるのは大きいです。しばらく使い込んで、5時間枠の減り方などの使用感は追記していきます。
※本記事は2026年9月時点の公開情報に基づいています。プラグインは実験版のため、仕様・消費レート・規約の扱いは変わる可能性があります。
