中古PC3台とOpenClaw Nodesで
「AI開発部隊」を本気で運用してみた

2026-03-08 | AI・開発 | Shinichi Noguchi

中古PC3台で構築したAI開発環境

きっかけ:確定申告の後、財布を見て考えた

先日、2025年度の確定申告を終えた。売上はまぁまぁだった。フリーランスとしては悪くない数字だが、所得税と消費税を払い終わると手元には思ったほど残らない。

そんな中で改めて自分の仕事を振り返ると、「開発の手が足りない」という問題にずっと向き合っていることに気づく。複数のクライアント案件を並行で進めながら、自社プロダクトの開発も回す。人を雇う余裕はない。外注はコミュニケーションコストが馬鹿にならない。

そこで考えた。自宅に余っている中古PCにAIエージェントを住まわせて、「AI開発部隊」を作れないか?

結論から言うと、できた。しかも想像以上に実用的だった。今日はその全貌を、失敗談も含めて書いていく。

僕の環境:ThinkPad 1台 + 中古PC 2台

まず使っている機材を紹介する。高スペックなゲーミングPCではない。

  • 司令塔:ThinkPad X1 Carbon 2018 — メインのWindows WSL2マシン。OpenClaw本体が動いている。ここに住んでいるAI秘書(自分ではみさきと名乗っている)が全体を指揮する
  • 開発ノードA:Dell Vostro 2014年製 — Ubuntu。中古で2万円。Claude Codeが走る
  • 開発ノードB:Sony VAIO 2013年製 — Bodhi Linux。ヤフオクで1.5万円。もう1つのClaude Codeインスタンスが走る

合計投資額、約3.5万円(ThinkPadは元々持っていたので除外)。これが僕の「AI開発部隊」だ。

OpenClaw Nodesが変えたこと

OpenClawは「PCに住み着くAIエージェント」のプラットフォームだ。ChatGPTとは違い、ローカルのファイルを読み書きし、コマンドを実行し、ブラウザを操作する。Slackから指示を出せば、PCが自律的に動いてくれる。

ここまでは1台のPCの話。Nodesはこれを複数台に広げる機能だ。

仕組みはシンプルで、各PCにopenclaw nodeをインストールしてペアリングするだけ。すると、メインのOpenClaw(僕の場合はThinkPad)から、リモートのPCに対してコマンド実行、ファイル操作、画面キャプチャなどを指示できる。

何が嬉しいかというと、スマホのSlackから「Dell VostroでこのWebサイトをリニューアルして」と送るだけで、物理的に別の部屋にあるPCが勝手にコードを書き始める。僕はその間、別の仕事をしていてもいいし、寝ていてもいい。

Claude Code Agent TeamsやCodexとどう違うのか

「複数のAIを並列で動かす」だけなら、他にも選択肢はある。僕も全部試した。

Claude Code Agent Teams

Claude CodeにはAgent Teamsという機能があって、1つのタスクを複数のサブエージェントに分割して並列処理させることができる。これは非常に強力で、実際に僕もメインのワークフローで使っている。

ただし、すべてが1台のPC内で動く。ThinkPadのメモリ16GBを3つのエージェントで共有すると、さすがにスワップが発生する。重いビルドタスクを3つ同時に走らせるのは厳しい。

OpenAI Codex

Codexはクラウドのサンドボックスで動くので、ローカルマシンのリソースを食わない。が、ローカルのファイルやデータベースに直接触れないのが致命的。既存のプロジェクトをいじるには制約が大きすぎる。

ちなみにCodexをOpenClawのACP(Agent Control Protocol)経由で動かそうとしたら、--quietオプションの互換性問題でいきなりコケた。acpx v0.1.13とCodex CLI v0.111.0の間で引数の渡し方が合っていなかったのだ。こういう「動くはずなのに動かない」は日常茶飯事で、そのたびに原因を追って直すか、諦めて別ルートを探す。

実際のエラー

codex exec --quieterror: unexpected argument '--quiet' found
acpxがCodex CLIに--quietを渡しているが、Codex側はこのオプションを認識しない。現時点ではCodexをACP経由で使うのは断念し、Claude Codeにフォールバックしている。

OpenClaw Nodes:物理分散のメリット

Nodesは上記2つとはレイヤーが違う。物理的に別のPCにエージェントを配置するから、リソースの競合がゼロ。各ノードが独立したCPU、メモリ、ストレージ、ネットワークを持つ。

しかも、Agent TeamsやCodexと排他的ではない。Dell Vostro上でClaude CodeのAgent Teamsを使いつつ、それ自体をOpenClaw Nodesで指揮する、という二重構造が可能だ。

特性 Agent Teams Codex Nodes
リソース分離 ×(同一PC内) ○(クラウド) ◎(別PC)
ローカルアクセス
スケール方法 PC性能依存 課金 PC追加
組み合わせ可能

実話:3サイト同時リニューアルを投げてみた

理論は分かった。実際にどうだったか。

僕は100以上のSEOサイトを運営している。これらは定期的にデザインリニューアルが必要で、1サイトあたり数時間かかる。手作業だと1日1〜2サイトが限界だ。

ある朝、SlackからAI秘書のみさきに「micromobilityoverseas-relocationのリニューアルをClaude Codeに投げて」と指示した。みさきはOpenClawのACP経由で2つのClaude Codeセッションを立ち上げ、それぞれのノードに振り分けた。

僕は確定申告の書類整理をしていた。2時間後にSlackを見ると、2サイトともリニューアルが完了していた。コミット済み、プッシュ済み、デプロイパイプラインも走っている。

正直、最初は半信半疑だった。でも実際に動くのを見ると、「ああ、これが未来か」と素直に感動した。

失敗と教訓:きれいごとだけじゃない

Git pushの衝突

2つのノードが同じリポジトリのmainブランチに同時にpushしようとすると、当然衝突する。これは最初の週に3回やらかした。対策として、サイトごとにディレクトリが完全に分かれている場合のみ並列実行するルールを設けた。同じファイルを触る可能性がある場合は直列にする。

設定ミスでゲートウェイが死んだ

Codexを動かそうとしてOpenClawの設定ファイル(openclaw.json)に無効なオプションを書いたら、ゲートウェイプロセスが落ちた。AI秘書のみさきが沈黙し、SlackからPCを操作できなくなった。

幸いopenclaw doctorコマンドで自動修復できたが、設定変更前には必ずopenclaw doctorで検証するという教訓を得た。

⚠️ 教訓

~/.openclaw/openclaw.jsonを手動編集する場合は、変更後にopenclaw doctorを実行して設定の妥当性を検証してからgatewayを再起動すること。無効な設定はゲートウェイごと落ちる。

深夜の暴走

ノードに投げたタスクが予想以上に長引いて、深夜3時にSlackに大量の通知が来たことがある。長時間タスクにはタイムアウトを設定するか、進捗報告のチェックポイントを入れるのが吉。

実際のコスト:月額いくらかかるのか

フリーランスとしてはコストが一番気になるところだ。包み隠さず書く。

項目 月額
Claude Max(Anthropic) 約30,000円
ChatGPT Pro(OpenAI) 約30,000円
中古PC 2台の電気代 約3,000円
ネット回線(既存) 0円(追加費用なし)
合計 約63,000円/月

エンジニアを1人月で雇うと60〜100万円。それと比べれば1/10以下だ。もちろんAIは複雑な設計判断は苦手だし、「なんかこれ違うんだよな」みたいな微妙なニュアンスは伝わりにくい。でも、テスト実行、コードレビュー、ドキュメント生成、定型的なサイト構築に関しては、もはや人間に頼む理由がない。

初期投資のPC代(約3.5万円)は、1ヶ月目の作業効率改善で余裕でペイした。

次に目指していること

今は3台だが、フィリピン・クラークに技術ハブを構築中で、そこにも数台のノードを置く予定だ。クラウドのEC2インスタンスをノードにすることも技術的には可能で、物理PCの制約すら超えられる。

最終的には、朝起きて「今日のタスクリスト」をSlackに送ったら、10台のノードが一斉に動き出して、夕方にはすべてのPRがマージ済み。そんな世界を目指している。

大げさに聞こえるかもしれないが、3台で動いている今の時点で、その延長線上に見える景色はかなりリアルだ。

まとめ

「中古PC3台でAI開発部隊を作る」。言葉だけ聞くとSFだが、2026年の今、これは普通に実現可能な話だ。

  • OpenClaw Nodesで複数PCをAIの手足にする
  • Claude Code Agent Teamsで各ノード内の並列処理を最大化
  • Codexはコスト最適化のサブオプション(ACP互換性の改善待ち)
  • コストはフル稼働でも月6万円程度
  • 初期投資はPC代で数万円

押し入れに眠っているPCがあるなら、そこに新しい「社員」を住まわせてみてほしい。たぶん、開発の景色が変わる。

📘 関連記事:技術解説版もあります

この記事は僕の実体験をベースにした「やってみた」系の記事です。OpenClaw Nodes・Claude Code Agent Teams・Codexの技術的な比較や構成の全体像を知りたい方は、OpenClaw Hubの解説記事もご覧ください。セットアップ手順や比較表など、導入検討に役立つ情報をまとめています。

技術解説版を読む →

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カテゴリ

AI・開発

公開日

2026-03-08

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