この記事をシェア
はじめに:AIツール、本当に使いこなせていますか?
ChatGPTやClaudeの登場から数年。「AIを使っている」という人は増えました。
でも、実際の使い方を聞いてみると、こんなパターンが多いのではないでしょうか。
- ChatGPTにコードを書いてもらう
- 出力をコピーして、自分の環境にペースト
- 動かない。エラーを貼り付けて再度質問
- 修正されたコードをまたコピペ
- 以下繰り返し…
これ、「AI活用」と言えるでしょうか?
結局、コピペと動作確認は人間がやっている。AIは「賢い検索エンジン」止まりで、本当の意味での自動化にはなっていません。
私は普段、AIエージェントを「秘書」として使っています。Slackで指示を出すと、コードを書き、ファイルを保存し、gitにコミットし、ブラウザで動作確認までやってくれる。その間、私は別の仕事をしていられます。
この記事では、AIを「コピペの相手」から「実際に作業してくれるパートナー」に変える方法をお伝えします。
E2E(エンドツーエンド)とは何か
E2Eとは「End to End」の略で、最初から最後まで一気通貫で処理することを指します。
従来のAI活用では、こんな分断が起きていました:
- 指示 → 人間がプロンプトを書く
- 生成 → AIがコードや文章を出力
- 実行 → 人間がコピペして動かす
- 確認 → 人間が目で見てチェック
- 修正 → また最初に戻る
E2Eでの活用では、これが変わります:
- 指示 → 人間が目的を伝える
- 生成〜実行〜確認〜修正 → AIが一気にやる
- 完了報告 → 人間は結果を受け取るだけ
「コードを書いて」ではなく「この機能を実装して」と言えば、AIが必要なファイルを作成し、テストし、問題があれば自分で修正する。これがE2Eです。
なぜ多くの人がE2Eできないのか
では、なぜほとんどの人がこのレベルに到達できていないのでしょうか。
理由は大きく3つあります。
1. ツールがそもそも対応していない
ChatGPTやClaudeのWeb版は、基本的に「会話」しかできません。ファイルを直接編集したり、コマンドを実行したりする機能はありません(一部のCode Interpreter機能を除く)。
2. 自動化ツールは「見えない」
Puppeteer、Playwright、Seleniumといったブラウザ自動化ツールは強力ですが、ヘッドレス(画面なし)で動くのが基本です。何が起きているのか見えないので、エラーが起きたときのデバッグが大変です。
また、ログイン情報の管理も面倒で、二要素認証があるサービスでは使いづらいという問題もあります。
3. 「暴走」が怖い
AIに実行権限を与えることへの不安もあります。「勝手に変なファイルを消されたら?」「間違った相手にメールを送られたら?」
この恐怖は正当なものです。見えないところで動くAIに、重要な操作を任せるのは確かに怖い。
"見えるE2E"という解決策
私が実践しているのは「見えるE2E」というアプローチです。
コンセプトはシンプル:
自分のブラウザを、ログインしたままAIに渡せる。画面で見ているから、おかしければ即停止できる。
具体的には、Clawdbotというツールを使っています。これはClaude(Anthropic社のAI)をベースにしたエージェントで、以下のような特徴があります。
普段使いのブラウザがそのまま使える
Chrome拡張機能を通じて、自分が普段使っているブラウザをAIが操作できます。
これの何が嬉しいかというと:
- ログイン済みのセッションがそのまま使える - いちいち認証情報を設定する必要がない
- 二要素認証済みのサービスもOK - すでにログインしているのだから当然
- ブックマークや履歴も活用できる - 「さっき見てたあのページ」と言えば通じる
操作が目の前で見える
ヘッドレスではなく、実際のブラウザが動きます。AIがどこをクリックし、何を入力しているのか、リアルタイムで見えます。
「あ、そこじゃない」と思ったら、すぐに止められる。この安心感は大きいです。
普段のチャットツールから指示できる
SlackやDiscordなどから直接指示を出せます。わざわざ別のツールを開く必要がありません。
「〇〇のページを開いて、△△を確認して」と普通に話しかければ、AIが実行してくれます。
実際のワークフロー例
私の日常的な使い方を紹介します。
例1:Webサイトの動作確認
従来のやり方:
- ブラウザを開く
- 対象のページにアクセス
- 各機能を手動でテスト
- スクリーンショットを撮って記録
- 問題があればコードを修正
AIエージェント活用:
- Slackで「〇〇サイトの主要機能をテストして、問題があれば報告して」と指示
- 結果を待つ(その間、別の作業が可能)
- 完了報告とスクリーンショットを受け取る
例2:管理画面での定型作業
従来のやり方:
- 管理画面にログイン
- 該当のメニューを開く
- データを入力または更新
- 確認して保存
AIエージェント活用:
- 「管理画面で〇〇のデータを△△に更新して」と指示
- AIが管理画面を操作(画面で確認可能)
- 完了報告を受け取る
例3:コード修正からデプロイまで
従来のやり方:
- エディタでコードを修正
- ローカルで動作確認
git commit&push- 本番環境で確認
AIエージェント活用:
- 「〇〇の機能を修正して、テストして、問題なければpushして」と指示
- AIがコード修正→テスト→git操作を実行
- 完了報告を受け取り、本番確認だけ自分でする(または確認も任せる)
ツール比較
参考までに、主要なアプローチを比較します。
| 観点 | ChatGPT/Claude Web | ヘッドレス自動化 | 見えるE2E |
|---|---|---|---|
| コード生成 | ◎ | △ | ◎ |
| ファイル操作 | × | ◎ | ◎ |
| ブラウザ操作 | × | ◎ | ◎ |
| 操作の可視性 | - | × | ◎ |
| 既存ログイン利用 | - | △ | ◎ |
| 緊急停止 | - | △ | ◎ |
| 導入の手軽さ | ◎ | △ | ○ |
どのアプローチが最適かは、用途によって異なります。単純な質問応答ならChatGPTで十分ですし、大量のデータ処理ならヘッドレス自動化が向いています。
「見えるE2E」が真価を発揮するのは、人間の判断が介在する余地を残しつつ、できるだけ自動化したいという場面です。
向いている人・向いていない人
正直に言うと、このアプローチは万人向けではありません。
向いている人
- ターミナル操作に抵抗がない - 初期設定でコマンドラインを使います
- 「見守り」ができる - 完全放置ではなく、たまに様子を見る習慣がある
- 試行錯誤を楽しめる - 新しいツールのセットアップが苦にならない
- 業務で定型作業が多い - 自動化の恩恵を受けやすい
向いていない人
- GUIで完結したい - 現時点ではある程度の技術知識が必要
- 100%の自動化を求める - 人間の監視を前提とした設計です
- 設定に時間をかけたくない - 初期セットアップに1〜2時間はかかります
経営者やマネージャーが自分で使うというより、技術チームが導入して業務効率化に活かすイメージです。
まとめ:AIは「使う」から「任せる」へ
AIの進化は、単なるツールの改善ではありません。人間とAIの役割分担そのものが変わりつつあります。
- 第1段階:検索の代わり - 調べ物をAIに聞く
- 第2段階:生成の補助 - コードや文章を書いてもらう
- 第3段階:作業の委任 - タスクを丸ごと任せる ← 今ここに来ている
「コピペで終わっている」人は、まだ第2段階にいます。
第3段階に進むためのポイントは「見える化」です。AIに作業を任せつつも、何が起きているか把握でき、いつでも介入できる。この安心感があれば、より大きなタスクを委任できるようになります。
ぜひ一度、「見えるE2E」を試してみてください。AIとの付き合い方が変わるはずです。
この記事を書いている間も、AIエージェントがバックグラウンドで別の作業を進めてくれていました。
