AIエージェント、コピペで終わってない?
―"見えるE2E"という選択肢

2026年2月13日 | AI・自動化

AIエージェントによる見えるE2E自動化

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はじめに:AIツール、本当に使いこなせていますか?

ChatGPTやClaudeの登場から数年。「AIを使っている」という人は増えました。

でも、実際の使い方を聞いてみると、こんなパターンが多いのではないでしょうか。

  1. ChatGPTにコードを書いてもらう
  2. 出力をコピーして、自分の環境にペースト
  3. 動かない。エラーを貼り付けて再度質問
  4. 修正されたコードをまたコピペ
  5. 以下繰り返し…

これ、「AI活用」と言えるでしょうか?

結局、コピペと動作確認は人間がやっている。AIは「賢い検索エンジン」止まりで、本当の意味での自動化にはなっていません。

私は普段、AIエージェントを「秘書」として使っています。Slackで指示を出すと、コードを書き、ファイルを保存し、gitにコミットし、ブラウザで動作確認までやってくれる。その間、私は別の仕事をしていられます。

この記事では、AIを「コピペの相手」から「実際に作業してくれるパートナー」に変える方法をお伝えします。

E2E(エンドツーエンド)とは何か

E2Eとは「End to End」の略で、最初から最後まで一気通貫で処理することを指します。

従来のAI活用では、こんな分断が起きていました:

  • 指示 → 人間がプロンプトを書く
  • 生成 → AIがコードや文章を出力
  • 実行 → 人間がコピペして動かす
  • 確認 → 人間が目で見てチェック
  • 修正 → また最初に戻る

E2Eでの活用では、これが変わります:

  • 指示 → 人間が目的を伝える
  • 生成〜実行〜確認〜修正 → AIが一気にやる
  • 完了報告 → 人間は結果を受け取るだけ

「コードを書いて」ではなく「この機能を実装して」と言えば、AIが必要なファイルを作成し、テストし、問題があれば自分で修正する。これがE2Eです。

なぜ多くの人がE2Eできないのか

では、なぜほとんどの人がこのレベルに到達できていないのでしょうか。

理由は大きく3つあります。

1. ツールがそもそも対応していない

ChatGPTやClaudeのWeb版は、基本的に「会話」しかできません。ファイルを直接編集したり、コマンドを実行したりする機能はありません(一部のCode Interpreter機能を除く)。

2. 自動化ツールは「見えない」

Puppeteer、Playwright、Seleniumといったブラウザ自動化ツールは強力ですが、ヘッドレス(画面なし)で動くのが基本です。何が起きているのか見えないので、エラーが起きたときのデバッグが大変です。

また、ログイン情報の管理も面倒で、二要素認証があるサービスでは使いづらいという問題もあります。

3. 「暴走」が怖い

AIに実行権限を与えることへの不安もあります。「勝手に変なファイルを消されたら?」「間違った相手にメールを送られたら?」

この恐怖は正当なものです。見えないところで動くAIに、重要な操作を任せるのは確かに怖い。

"見えるE2E"という解決策

私が実践しているのは「見えるE2E」というアプローチです。

コンセプトはシンプル:

自分のブラウザを、ログインしたままAIに渡せる。画面で見ているから、おかしければ即停止できる。

具体的には、Clawdbotというツールを使っています。これはClaude(Anthropic社のAI)をベースにしたエージェントで、以下のような特徴があります。

普段使いのブラウザがそのまま使える

Chrome拡張機能を通じて、自分が普段使っているブラウザをAIが操作できます。

これの何が嬉しいかというと:

  • ログイン済みのセッションがそのまま使える - いちいち認証情報を設定する必要がない
  • 二要素認証済みのサービスもOK - すでにログインしているのだから当然
  • ブックマークや履歴も活用できる - 「さっき見てたあのページ」と言えば通じる

操作が目の前で見える

ヘッドレスではなく、実際のブラウザが動きます。AIがどこをクリックし、何を入力しているのか、リアルタイムで見えます。

「あ、そこじゃない」と思ったら、すぐに止められる。この安心感は大きいです。

普段のチャットツールから指示できる

SlackやDiscordなどから直接指示を出せます。わざわざ別のツールを開く必要がありません。

「〇〇のページを開いて、△△を確認して」と普通に話しかければ、AIが実行してくれます。

実際のワークフロー例

私の日常的な使い方を紹介します。

例1:Webサイトの動作確認

従来のやり方:

  1. ブラウザを開く
  2. 対象のページにアクセス
  3. 各機能を手動でテスト
  4. スクリーンショットを撮って記録
  5. 問題があればコードを修正

AIエージェント活用:

  1. Slackで「〇〇サイトの主要機能をテストして、問題があれば報告して」と指示
  2. 結果を待つ(その間、別の作業が可能)
  3. 完了報告とスクリーンショットを受け取る

例2:管理画面での定型作業

従来のやり方:

  1. 管理画面にログイン
  2. 該当のメニューを開く
  3. データを入力または更新
  4. 確認して保存

AIエージェント活用:

  1. 「管理画面で〇〇のデータを△△に更新して」と指示
  2. AIが管理画面を操作(画面で確認可能)
  3. 完了報告を受け取る

例3:コード修正からデプロイまで

従来のやり方:

  1. エディタでコードを修正
  2. ローカルで動作確認
  3. git commit & push
  4. 本番環境で確認

AIエージェント活用:

  1. 「〇〇の機能を修正して、テストして、問題なければpushして」と指示
  2. AIがコード修正→テスト→git操作を実行
  3. 完了報告を受け取り、本番確認だけ自分でする(または確認も任せる)

ツール比較

参考までに、主要なアプローチを比較します。

観点 ChatGPT/Claude Web ヘッドレス自動化 見えるE2E
コード生成
ファイル操作 ×
ブラウザ操作 ×
操作の可視性 - ×
既存ログイン利用 -
緊急停止 -
導入の手軽さ

どのアプローチが最適かは、用途によって異なります。単純な質問応答ならChatGPTで十分ですし、大量のデータ処理ならヘッドレス自動化が向いています。

「見えるE2E」が真価を発揮するのは、人間の判断が介在する余地を残しつつ、できるだけ自動化したいという場面です。

向いている人・向いていない人

正直に言うと、このアプローチは万人向けではありません。

向いている人

  • ターミナル操作に抵抗がない - 初期設定でコマンドラインを使います
  • 「見守り」ができる - 完全放置ではなく、たまに様子を見る習慣がある
  • 試行錯誤を楽しめる - 新しいツールのセットアップが苦にならない
  • 業務で定型作業が多い - 自動化の恩恵を受けやすい

向いていない人

  • GUIで完結したい - 現時点ではある程度の技術知識が必要
  • 100%の自動化を求める - 人間の監視を前提とした設計です
  • 設定に時間をかけたくない - 初期セットアップに1〜2時間はかかります

経営者やマネージャーが自分で使うというより、技術チームが導入して業務効率化に活かすイメージです。

まとめ:AIは「使う」から「任せる」へ

AIの進化は、単なるツールの改善ではありません。人間とAIの役割分担そのものが変わりつつあります。

  • 第1段階:検索の代わり - 調べ物をAIに聞く
  • 第2段階:生成の補助 - コードや文章を書いてもらう
  • 第3段階:作業の委任 - タスクを丸ごと任せる ← 今ここに来ている

「コピペで終わっている」人は、まだ第2段階にいます。

第3段階に進むためのポイントは「見える化」です。AIに作業を任せつつも、何が起きているか把握でき、いつでも介入できる。この安心感があれば、より大きなタスクを委任できるようになります。

ぜひ一度、「見えるE2E」を試してみてください。AIとの付き合い方が変わるはずです。


この記事を書いている間も、AIエージェントがバックグラウンドで別の作業を進めてくれていました。

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AIエージェント活用のヒントになれば幸いです

カテゴリ

AI・自動化

公開日

2026年2月13日

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