【前編】Clawdbot完全ガイド:話すだけじゃない、実際に動くオープンソースAIアシスタント

2026-01-31 | AI・自動化

Clawdbot完全ガイド

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実際のインストール手順やSlack連携の設定方法、トラブルシューティングを知りたい方は、【後編】Clawdbot実践ガイド:WSL2インストールからSlack連携まで完全攻略をご覧ください。

「THE AI THAT ACTUALLY DOES THINGS」——GitHubスター51,400超、2026年最も注目されるAIプロジェクトの全貌

はじめに:なぜClawdbotが必要なのか

「SlackにAIアシスタントがいたら便利だな」——そう思ったことはないだろうか。

ChatGPTのWeb画面をいちいち開くのではなく、普段使っているSlackからそのままClaudeに話しかけられたら。ファイルを読ませたり、コードを書かせたり、調べ物をさせたり。チームのワークスペースに常駐するAIアシスタントがいたら、仕事の流れが変わるはずだ。

Clawdbotは、まさにそれを実現するツールだ。AnthropicのClaude APIをバックエンドに、Slack・Discord・WhatsApp・Telegram・iMessageなど複数のチャットプラットフォームと接続できるオープンソースのAIアシスタント基盤である。

しかも、ただ会話するだけではない。ファイル操作、シェルコマンド実行、ブラウザ自動化、スマートホーム制御、定期タスクの実行まで——「実際に行動するAI」として設計されている点が、他のチャットボットと一線を画している。

この記事では、Clawdbotの全貌を徹底解説する。前編では概要・機能比較・ユースケースを、後編では実際のインストール手順とコマンドリファレンスを詳しく紹介する。

Clawdbotとは何か:開発背景と基本情報

開発者とプロジェクトの歴史

Clawdbotは、オーストリア・ウィーン在住の開発者Peter Steinberger氏が開発したオープンソースのAIアシスタントである。Steinberger氏はPDF処理SDK企業PSPDFKitの創業者であり、13年以上のiOS/macOS開発経験を持つベテラン開発者だ。

プロジェクトは2025年後半に公開され、瞬く間にGitHubで話題となった。2026年1月時点で51,400以上のスターを獲得し、8,150以上のコミット50人以上のコントリビューターによる活発な開発が続いている。Discordコミュニティには8,900人以上が参加しており、日々活発な議論が行われている。

リブランド:ClawdbotからMoltbotへ

2026年1月、Anthropicからの商標リクエストにより「Moltbot」へとリブランドされた。「Clawd」がAnthropicの「Claude」に類似していたためだ。マスコットはロブスター(「space lobster」として知られる)で、リブランド後も変わらず愛されている。

注意:詐欺に注意
リブランドの混乱に乗じて、GitHubやXアカウントを狙った暗号詐欺が発生した。公式以外の「$CLAWD」トークンなどは詐欺であり、開発者自身が警告を発している。公式リポジトリ以外からのダウンロードは避けること。

基本スペック

項目 内容
現在のバージョン v2025.1.29(安定版)
GitHubスター 51,400+
コントリビューター 50+
必須要件 Node.js 22以上
ライセンス オープンソース
対応プラットフォーム macOS, Linux, Windows (WSL2)

アーキテクチャ:Local-first Gatewayとは

Clawdbotの核となるのはLocal-first Gatewayアーキテクチャだ。これはセッション・チャンネル・ツール・イベントを単一のコントロールプレーンで管理する設計思想である。

なぜLocal-firstなのか

従来のクラウドベースAIサービスと異なり、Clawdbotはユーザー自身のマシン上で動作する。これにより以下のメリットがある。

  1. プライバシー保護 — データは自分のマシンに留まり、第三者サーバーに送信されない
  2. カスタマイズ性 — 設定ファイルを自由に編集でき、挙動を細かく制御可能
  3. コスト管理API利用料のみで、追加のサブスクリプション費用なし
  4. セルフホスト — 企業のセキュリティポリシーに準拠した運用が可能

対応AIプロバイダー

Clawdbotは複数のAIバックエンドに対応している。

プロバイダー 特徴
Anthropic Claude デフォルト推奨。Claude Sonnet 4、Claude Opus 4等
OpenAI GPT-4シリーズに対応
Google Gemini Gemini Pro等に対応
Amazon Bedrock AWS環境との統合に最適
Ollama ローカルLLMを使用したい場合

APIキーさえあれば、設定ファイルで簡単に切り替えられる。複数プロバイダーの併用も可能だ。

主要機能:Clawdbotでできること

1. マルチチャネル対応:10以上のメッセージングプラットフォーム

Clawdbotの最大の強みは、既存のメッセージングアプリと統合できることだ。

チャネル 対応状況 備考
Slack 対応 Socket Mode対応、ワークスペース連携
Discord 対応 サーバー・DM両対応
WhatsApp 対応 個人・ビジネス両対応
Telegram 対応 Bot API経由
iMessage 対応 macOSのみ
Signal 対応 プライバシー重視ユーザー向け
Microsoft Teams 対応 企業環境向け
Google Chat 対応 Google Workspace連携
LINE 対応 日本ユーザー向け
CLI 対応 ターミナル直接対話

つまり、普段使っているチャットアプリからそのままAIに指示を出せる。外出先のスマホからWhatsAppで「自宅PCでgit pullしておいて」と送れば、Clawdbotが実行してくれるのだ。

2. ファイル操作とシェル実行

Clawdbotはファイルシステムへのアクセスとシェルコマンドの実行が可能だ。

できること

  • ファイルの作成・編集・削除・検索・整理
  • ディレクトリ構造の操作
  • gitnpmcurl等のコマンド実行
  • スクリプトの実行
  • ログファイルの解析

実用例

「ダウンロードフォルダをファイル種類別に整理して」
「このプロジェクトでgit pullしてnpm installして」
「昨日のアクセスログからエラーを抽出して」

自然言語で指示するだけで、複雑なシェル操作を代行してくれる。

3. ブラウザ自動化

専用のChrome/Chromiumプロファイルを使用し、隔離された環境でブラウザ操作を自動化できる。

できること

  • Webページのナビゲーション
  • フォーム入力・送信
  • データ抽出(スクレイピング)
  • スクリーンショット取得
  • 複数タブの操作

実用例

「来月ベルリン行きの最安フライトを検索して」
「競合他社の価格ページをスクショして」
「この求人サイトから条件に合う案件をリストアップして」

4. 外部サービス連携

GitHub、Gmail、Google Calendar、Notionなど、多数の外部サービスと連携できる。

サービス 連携機能
GitHub PR作成・コミット・レビュー・Issue管理
Gmail メール検索・送信・ラベル管理
Google Calendar 予定の確認・追加・リマインド
Notion ページ作成・データベース操作
Philips Hue 照明制御
スマートサーモスタット 温度調整

Gmail Pub/Sub統合により、メール受信をトリガーとした自動処理も可能だ。例えば「サプライヤーからメールが来たら請求書金額を抽出してGoogle Sheetに追加」といったワークフローを構築できる。

5. スケジュール実行とプロアクティブ機能

cronジョブによる定期タスクのスケジューリングに対応している。

実用例

  • 毎朝8時にカレンダーとトップメールのサマリーを送信
  • 毎週月曜にGitHubの未処理PRをリマインド
  • 毎日深夜にバックアップスクリプトを実行

特筆すべきはプロアクティブな通知機能だ。ユーザーが話しかける前に、Clawdbotから先にメッセージを送ってくることができる。「明日の会議資料、まだ準備できていませんが大丈夫ですか?」といった先回りのリマインドも可能になる。

6. ClawdHub:100以上のコミュニティ製スキル

ClawdHubには、コミュニティが作成した100以上のスキル(拡張機能)が公開されている。

  • コード生成・リファクタリング
  • ドキュメント作成支援
  • データ分析・可視化
  • 翻訳・校正
  • 画像処理

自分でスキルを作成して公開することも可能だ。

Claude Codeとの違い:住み分けを理解する

Anthropicが公式に提供する「Claude Code」との関係について、混乱する人も多い。開発者は以下のように説明している。

「Clawdbot vs Claude Codeは、VS Code vs Slackのような関係」
項目 Claude Code Clawdbot
用途 コーディング特化 生活全般のタスク自動化
インターフェース コマンドライン(ターミナル) チャットアプリ経由
対象ユーザー 開発者 開発者+一般ユーザー
主な機能 コード生成・デバッグ・リファクタ ファイル操作・連携・自動化
提供元 Anthropic公式 コミュニティ(オープンソース)

Claude Codeはコーディング作業のためのツールであり、Clawdbotは日常のタスク全般を自動化するパーソナルアシスタントという位置づけだ。両者は競合するものではなく、用途に応じて使い分けるべきものである。

プラットフォーム比較:macOS vs Windows (WSL2)

Clawdbotは「Any OS. Any Platform.」を謳っているが、実際にはプラットフォームによって機能差がある。macOSが最も充実しており、Windows (WSL2) は一部機能に制限があるのが現状だ。

機能比較表

機能 macOS Windows (WSL2) Linux
コンパニオンアプリ ネイティブSwiftアプリ なし なし
Voice Wake(音声起動) 対応 非対応 非対応
iMessage連携 対応 非対応 非対応
Canvas 対応 非対応 非対応
シェル実行 Exec承認付き CLI経由 CLI経由
メッセージング連携 全チャネル 全チャネル 全チャネル
ブラウザ制御 対応 対応 対応

なぜmacOSが優遇されているのか

開発者のPeter Steinberger氏が13年間のiOS/macOS開発経験を持つことが大きい。macOS向けに最も充実した機能が提供されており、Mac Mini M4での常時稼働が推奨構成とされている。

Windows (WSL2) の制限事項

Windows環境ではWSL2(Windows Subsystem for Linux)経由での使用が必須であり、ネイティブWindowsインストールはサポートされていない。

主な制限

  1. GUIアプリケーションの直接操作不可 — WSL2はCLI環境のため、Windows GUIアプリへのアクセスは基本的に不可能
  2. Voice Wake非対応 — 常時音声認識はmacOS/iOS/Androidのみ
  3. ファイルシステムのパフォーマンス/mnt/c/経由でWindowsファイルにアクセスすると大幅に遅くなる
  4. ネットワーク設定の複雑さ — WSL2は独自の仮想ネットワークを持ち、再起動ごとにIPアドレスが変わる

ただし、基本的なチャットボット機能、ファイル操作、シェル実行、ブラウザ自動化、API連携については両プラットフォームで同等に機能する。

セキュリティ設計:4層の防御

Clawdbotはシェルアクセスを持つ強力なツールであり、適切なセキュリティ設定が必須である。設計原則として「アクセス制御が先、AIの知性は後」が掲げられている。

4層のセキュリティレイヤー

レイヤー 役割 設定項目
1. ネットワーク層 接続元の制限 bind設定、認証、ファイアウォール
2. アクセス制御層 誰と話せるか DMポリシー(pairing/allowlist/open/disabled)
3. ツール実行層 何ができるか サンドボックス、コマンドのallow/denyリスト
4. ファイルシステム層 どこにアクセスできるか ワークスペースアクセス制御(none/ro/rw)

デフォルトのDMアクセスポリシー

デフォルトではpairingモードが設定されている。不明な送信者がDMを送ってきた場合、Clawdbotはペアリングコードを送信し、ユーザーが手動で承認するまでアクセスを許可しない。

これにより、第三者が勝手にあなたのClawdbotを操作することを防いでいる。

セキュリティ監査コマンド

# セキュリティ設定の監査
clawdbot security audit

# システム診断
clawdbot doctor

本格運用する場合は、サンドボックスモード(Docker内での隔離実行)の有効化を推奨する。

実践的なユースケース:人間の代わりにできること

ユースケース1:開発ワークフローの自動化(最も得意分野)

Clawdbotの真価は開発ワークフローの自動化で発揮される。

シナリオ:外出先からのリモート開発

あなた(WhatsAppから): 「プロジェクトリポジトリでgit pullしてnpm installしておいて」
Clawdbot: 「完了しました。依存関係に1件の脆弱性警告があります。詳細を確認しますか?」

シナリオ:夜間のバグ修正エージェント

夜間にClawdbotがIssueを監視
→ 新しいバグレポートを検出
→ 関連コードを分析して修正案を作成
→ PRをオープン
→ 翌朝、あなたがレビューするだけ

ユースケース2:ファイル管理の自動化

シナリオ:散らかったダウンロードフォルダの整理

あなた: 「ダウンロードフォルダをファイル種類別に整理して」
Clawdbot: 「47ファイルを整理しました。PDF: 12件→Documents/PDF、画像: 23件→Pictures、その他: 12件→Misc に移動しました」

シナリオ:ドキュメントの要約

あなた: 「デスクトップのQ4レポートPDFを見つけて要約して」
Clawdbot: 「Q4_Report_2025.pdfを見つけました。主要ポイント:売上前年比12%増、新規顧客獲得数は目標未達、来期の重点施策は3点...」

ユースケース3:コミュニケーション支援

シナリオ:メール処理の自動化

Gmail Pub/Sub統合により、メール受信をトリガーに設定

サプライヤーからメールが来る
→ Clawdbotが請求書を検出
→ 金額・日付・品目を抽出
→ Google Sheetに自動追記
→ Slackで「新しい請求書を処理しました」と通知

シナリオ:毎朝のブリーフィング

cronジョブで毎朝8時に実行

Clawdbot: 「おはようございます。今日の予定:
- 10:00 チームミーティング(Zoom)
- 14:00 クライアントA様 訪問
- 未読メール:重要3件、その他12件
- GitHubの未処理PR:2件」

ユースケース4:スマートホーム制御

シナリオ:帰宅前の準備

あなた(外出先から): 「30分後に帰るから、リビングの照明つけてエアコン26度にしておいて」
Clawdbot: 「Philips Hueでリビング照明をON、エアコンを26度に設定しました」

ユースケース5:WSL2ならではの活用(Windows環境)

WSL2からは/mnt/c/経由でWindowsのファイルシステムにアクセスできる。OneDriveのフォルダも例外ではない。

シナリオ:OneDrive上のExcelファイルを処理

あなた: 「OneDrive上のsales_data.xlsxを読んで、月別売上をグラフにして」
Clawdbot: (WSL2上のPythonでopenpyxlを使用して処理)
「完了しました。グラフをsales_chart.pngとして保存しました」

導入前のチェックリスト

Clawdbotを導入する前に、以下を確認しておこう。

必須要件

  • Node.js 22以上がインストールされている
  • Anthropic APIキーを取得済み(または他のAIプロバイダーのAPIキー)
  • 連携したいチャットプラットフォームのアカウントがある

Windows環境の追加要件

  • WSL2が有効化されている
  • WSL2内にUbuntuがインストールされている
  • Windows Terminalをインストール済み(日本語文字化け対策)

推奨環境

項目 推奨スペック
RAM 2GB以上(WSL2使用時)
ストレージ 1GB以上の空き
ネットワーク 安定したインターネット接続

公式リンク集

基本リソース

リソース URL
公式リポジトリ github.com/clawdbot/clawdbot
公式ドキュメント docs.molt.bot
ClawdHub(スキル集) clawd.bot/integrations

まとめ:前編のポイント

  1. Clawdbotは「実際に動くAI」 — 会話だけでなく、ファイル操作・コマンド実行・ブラウザ自動化まで可能
  2. 10以上のチャットプラットフォームに対応 — 普段使いのアプリからAIに指示できる
  3. Local-firstでプライバシー重視 — データは自分のマシンに留まる
  4. macOSが最も機能充実 — Windows (WSL2) でも基本機能は十分使える
  5. セキュリティ設計が堅牢 — 4層の防御で不正アクセスを防止

後編では、実際のインストール手順、Slack連携の設定、トラブルシューティング、コマンドリファレンスを詳しく解説する。特にSlack連携は「マニフェストを使えば一発だが、手動だと地獄を見る」——その理由と回避方法を、実体験に基づいて紹介する。

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この記事は2026年1月時点の情報に基づいています。Clawdbotは活発に開発が進んでいるため、最新情報は公式リポジトリを確認してください。

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カテゴリ

AI・自動化

公開日

2026-01-31

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