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── 現場から見た賛同と、時代の変化に即した新たなマインドセット ──
はじめに:なぜこの記事に感銘を受けたのか
先日、「SES歴20年の経験則。現場で「成長し続ける人」が持っている20のマインド」という記事を読んで、深く共感するとともに、自分自身のキャリアを振り返る機会となりました。
私は現在、AIコンサルタント・AWSコンサルタントとして活動していますが、そのキャリアの根底には「現場に入り込み、長期的な信頼関係を構築しながら価値を提供する」というSES的なマインドがあります。
この記事では、元記事への賛同と実体験を交えながら、AIエンジニアとしての視点、そして「最長年参画」という働き方の観点から、現代のSESエンジニアに伝えたいことを書いていきます。
1. 「学びの姿勢」は時代を超えて不変
元記事で語られている「成長し続ける人」のマインドの根幹には、継続的な学習姿勢があると感じました。これは私の30年近いIT業界での経験とも完全に一致します。
実体験:技術のライフサイクルを何度も目撃して
私がこの業界に入った頃、主流だった技術は今では「レガシー」と呼ばれています。しかし、当時その技術を深く学んだ経験は、現在のクラウド技術やAIを理解する上での土台になっています。
重要なのは、特定の技術を学ぶことではなく、「技術を学ぶ方法」を身につけること。
失敗例:「Javaを極めたから安泰」と思い込む
成功例:「Javaを学んだ過程で得た設計思想を、他言語にも応用する」
AIエンジニアの視点から
今、AIの世界では2ヶ月に1回は想像を超える技術革新が起きています。Claude、GPT、Gemini…毎月のように新しいモデルがリリースされ、昨日までのベストプラクティスが今日には陳腐化することすらあります。
この環境で生き残るには、「学ぶこと」そのものを習慣化するしかない。SES20年の経験則が示す「学びの姿勢」は、AI時代においてさらに重要性を増しています。
継続的な学習がエンジニアの成長を支える
2. 「最長年参画」という戦略の価値
SESといえば「2〜3年で現場を変わった方がいい」という意見もあります。多様な経験を積むという意味では正しい面もあるでしょう。
しかし、私は別の視点を提案したい。
深く入り込むからこそ見える景色がある
私がAWSコンサルタントとして、あるいはAIコンサルタントとして企業様に参画する際、長期的な関係構築を重視しています。
なぜか?
短期間では見えない課題があるからです。
- 1ヶ月目:システムの表面的な構造を理解
- 3ヶ月目:運用上の課題が見え始める
- 6ヶ月目:組織の文化や政治的な力学が見えてくる
- 1年目:本質的な問題と、その解決策が見えてくる
- 2年目以降:自分が「その組織の一部」として価値を発揮できる
現場からの実感
最長年で参画することで得られるのは、単なる「居心地の良さ」ではありません。
「この人に聞けば分かる」という存在になること。
「この人がいれば安心」という信頼を得ること。
これこそが、AIに代替されない「人間としての価値」だと考えています。
3. AI時代のSESエンジニアに求められる新しいマインド
元記事のマインドセットに加えて、2025年以降のSESエンジニアには以下の視点も必要だと感じています。
3-1. AIを「競合」ではなく「相棒」と捉える
私のブログでも繰り返し書いていますが、AIは人間の仕事を奪うものではなく、人間の能力を拡張するものです。
❌ 「AIがコードを書くから、プログラマーは不要になる」
⭕ 「AIがコードを書いてくれるから、人間はより高度な設計や顧客折衝に集中できる」
実際、私はClaude Code、GitHub Copilot、Cursorなどのツールを日常的に活用しています。これにより、かつては1週間かかっていた作業が1日で終わることもあります。
空いた時間で何をするか?
それが「成長し続ける人」と「AIに置いていかれる人」の分かれ道です。
AIとの協働が新しい働き方を生み出す
3-2. 「非同期×並列」という新しい働き方
私のブログで「非同期×並列×定額」をテーマにした記事を何度か書いています。
従来のSESは「人月」という単位で価値が測られてきました。しかし、AIエージェントが当たり前になった今、「時間をかけた量」ではなく「生み出した成果」で評価される時代が来ています。
これは脅威であると同時に、大きなチャンスでもあります。
自分がAIを使いこなし、1人で3人分のアウトプットを出せるようになれば、単価交渉の材料になる。逆に、AIを使えない人は相対的に価値が下がっていく。
3-3. 「ガバナンス」という新領域
私は「AIガバナンス」をテーマにした記事も書いています。
2025年、EU AI法が本格施行され、日本でもAI規制の議論が進んでいます。この文脈で、「AIを導入すること」だけでなく「AIを適切に管理すること」に価値が置かれるようになりました。
SESエンジニアとして現場にいる人間だからこそ、AIガバナンスの現場実装に貢献できます。
- データの取り扱いルールを現場レベルで徹底する
- AIの判断結果を人間が検証するプロセスを設計する
- インシデント発生時のエスカレーションフローを整備する
これらは、外部コンサルだけでは実現できない。現場に入り込んでいるSESエンジニアだからこそできる仕事です。
4. 私が「成長し続ける人」に共通して見た特徴
30年近くこの業界にいて、様々なエンジニアを見てきました。その中で「成長し続ける人」には、いくつかの共通点があります。
4-1. 謙虚さを失わない
どんなに経験を積んでも、「自分はまだまだだ」と思える人は強い。逆に、「俺は20年やってるから」と経験を盾にする人は、いつの間にか時代に取り残されていきます。
4-2. 他者の成功を素直に喜べる
SESの現場では、同じチームのメンバーが評価されることもあります。それを妬むのではなく、「どうやったんですか?」と学ぼうとする姿勢。これが成長の源泉です。
4-3. 「why」を問い続ける
「なぜこのシステムはこの設計なのか?」
「なぜこの業務フローになっているのか?」
表面的な作業をこなすだけでなく、背景にある意図を理解しようとする人は、本質的な課題解決ができるようになります。
4-4. 自分を「使いこなす」
これは私自身が意識していることですが、自分という「リソース」を最大限活用するという視点を持っています。
- 自分が得意なことは何か?
- 自分が苦手なことは何か?(→ AIに任せられないか?)
- 自分の時間単価はいくらか?(→ その作業は見合っているか?)
自分を客観視することで、より戦略的なキャリア形成が可能になります。
成長し続けるために必要なマインドセット
5. これからのSESエンジニアへのアドバイス
5-1. まず、AIを触ってみる
まだChatGPTすら使っていないなら、今すぐ始めてください。無料で使えます。
次に、Claude(Anthropic)を試してみてください。コードを書くなら、Cursorというエディタもおすすめです。
「AIを使う側」に回ることで、見える景色が変わります。
5-2. 自分の「強み」を言語化する
SES20年の経験がある人も、これからSESを始める人も、自分は何が得意で、何で価値を提供できるのかを言語化してみてください。
「Javaが書ける」ではなく、「レガシーシステムのモダナイゼーションにおいて、段階的移行の計画立案からハンズオン実装まで一貫して対応できる」という具合に。
5-3. 発信する
ブログを書く、Qiitaに投稿する、社内勉強会で発表する。アウトプットは最高のインプットです。
人に説明しようとすることで、自分の理解が深まる。これは間違いないです。
私自身、ブログを書き続けることで、自分の考えが整理され、新しい気づきを得ることが何度もありました。
5-4. 長期的な視点を持つ
来月の案件、来年の年収だけでなく、5年後、10年後にどうなっていたいかを考えてみてください。
そのゴールから逆算して、今何を学ぶべきか、どんな案件に携わるべきかが見えてきます。
おわりに:SESというキャリアの可能性
「SESはやめとけ」という声もよく聞きます。確かに、課題の多い業界であることは否定しません。
しかし、私はSES的な働き方の本質に大きな価値があると思っています。
それは、「現場に入り込み、信頼を積み重ね、実際に手を動かして課題を解決する」という姿勢です。
AIコンサルタントとして活動する今も、この姿勢は変わっていません。クライアント企業の中に入り込み、社員の方々と同じ目線で課題に向き合い、一緒に汗をかく。
外部から偉そうなことを言うだけのコンサルでは、本当の変革は起こせない。
SES20年の知見を体系化してくれた元記事に敬意を表しつつ、AI時代を生きる私たちがさらに成長し続けるためのヒントとして、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
野口真一
AIコンサルタント・AWSコンサルタント
https://shinichi.noguchi.jp.net/
30年のIT業界経験を活かし、AIエージェント統合システム、RAG実装、クラウドインフラ構築を支援しています。「技術と人をつなぐ」をモットーに、実際に手を動かしながら、クライアント企業のDX・AI活用を伴走支援します。
